GUCCI

GUCCIは、イタリアを代表するファッションブランドですが、もともとバッグのブランドでGUCCIの創業者であるグッジオ・グッジは、貧しい帽子職人家に生まれ、若いときはイギリスに出稼ぎに行っていたりしていましたが、その際にサボイホテルなどで働き、世界各国のセレブ達が持っているスーツケースやバックを見ていて、イタリアに戻ってバッグやカバンの修理をしていました。
GUCCIのブランドの立ち上げは1922年ですが、当初は外国製のバッグやスーツケースなどの輸入や修理専門で、オリジナルの製品を作り始めるのは、第二次世界戦後の話になります。戦争中から、材料の皮不足から布生地に染料をコーティングしたカラフルなバッグで人気が出始めていましたが、戦後その技法を皮に用いて、一気にGUCCIの人気に火がついたと言えます。
グッチオ・グッチが存命中は主にバッグのブランドとして専念していましたが、2代目パオロ・グッチあたりから、事業の多角化が進み、今で言うところのブランド戦略で、次々と他のブランドを買収して、GUCCIの傘下におき、急成長を遂げたと言えます。一時はイヴ・サンローランやブシュロン、セルジオ・ロッシ、バレンシアガなどヨーロッパを代表するブランドを多数傘下に収めて、ヨーロッパにおける多国籍企業として、隆盛を誇りましたが、その実家族経営の域を出る事が出来ないまま、カリスマ経営者であったパオロ・グッチの死去後、遺産相続による内紛によって、空中分解してしまいました。
今更ながら、GUCCI一族の隆盛と没落は、語り草ですが、企業としてのGUCCIの大きさに比べ、経営の実態があまりに旧態依然としたものであった事が、その原因と言えます。
GUCCIの販売戦略は、イタリアのブランドとしては、非常に特異なもので、本来クラフトマンシップに支えられた、手作りが基本ですが、それにブランドステータスを加えることで、高価なアイテムとして顧客の所有欲を満足させると言う、ブランド戦略で高い収益性を確保したところにあります。そのことは他の企業も模倣するところとなり、現在の多数のブランドを傘下にもつ、ファッションビジネスを中心にした複合企業(コングロマリット)の誕生に繋がるわけです。
工業や機械分野の世界では、複合企業は当たり前ですが、ファッション業界にその手法を取り入れたGUCCIは、その先駆けといえるかもしれません。しかし今では当のGUCCIがヨーロッパ最大のコングロマリットであるLVMHの傘下に入っていることは、歴史の皮肉と申せましょう。